院長ブログ

「病床数世界一」なのになぜ病床逼迫が起きるのか?

投稿日:2021.07.31
加古川・高砂市のツトウ歯科医院です。ブログを見て頂き、ありがとうございます。

「新型コロナは怖いウイルスだ」と誰もがそう思った!

昨年2月には船内で集団感染を起こしたダイヤモンドプリンセス号が横浜港に停泊し、物々しい防護服を着た医療関係者が船内に出入りする姿が連日報道された。3月には志村けんさんの死が国民に衝撃を与えました。4月に1度目の緊急事態宣言が発令され街に人の影はまばらで重々しい空気が社会を支配していましたね。

あれから1年以上経過し社会の空気は大きく変わりつつあります。ワクチンを接種し、早くこのコロナ騒ぎが終わってほしいとほとんどの人が思っています。

なぜ全国の重症者数が1000人を超えたぐらいで医療が逼迫してしまうのか?

コロナ自粛の大罪 宝島社新書、テレビ報道から引用
日本の医療が機動性に欠けるからです。一般病床を感染の増減に応じて柔軟に ICU (集中治療室)や HCU (高度治療室)に転換するのが「縦の機動性」そして他利や他施設の医師、看護師をコロナ病棟に派遣したり、医療がまだ余裕のある他地域に患者を移送したりするのが「横の機動性」。欧米の国々ではこうしたことを柔軟に行っているのですにもかかわらずなぜ日本ではできないのでしょうか?
その大きな要因の一つとして日本の医療機関は民間が8割で公的医療機関が2割しかないために、政府厚労省の指導命令系統が及びにくいことがあげられるのです。

先進主要国の人口1000人当たりの病床数

日本13.0
ドイツ8.0
フランス5.9
イタリア3.1
アメリカ2.9
イギリス2.5

コロナ対応の確保病床数の使用率

・全国の病床数159万5146床
・新型コロナ対応の確保病床数3万2720(約2%)

大阪周辺府県の医療提供体制

府県入院者数確保病床数使用率
京都府27946959%
大阪府1860229781%
兵庫県73293778%
奈良県28838974%
鳥取県4125316%
また医療を競争原理に任せて運営してきたために医療機関同士がライバルになってしまってます。平時ではそれが医療の質やサービス向上に繋がるけれど 、有事になると上手に連携が取れないのです。そうしたことを放置してきたツケがコロナ渦になって回ってきたのだと考えられます。

アメリカイギリスドイツフランス日本
病床100床当たりの医師数91.5120.154.053.719.2
病床100床当たりの看護職員数417.0315.5165.7182.690.6
余剰人員を押さえながら医療を展開しているわけではない日本ならではの医療体制の事情。(保険証1枚でいろんな医療を利用している方々も守らないといけない)簡単に一時期のことで転換は病院の存亡をかけるような決断になってしまうという声を聞きます。

各国の平常時の医療体制

日本イギリスフランスアメリカ
医療制度社会保険国営社会保険民間保険
医師の選択肢自由に診てもらえる登録制のかかりつけ医基本かかりつけ医保健によって違う
医療費3割原則無料比較的安価非常に高額
国民1人当たりの外来診察回数12.65.05.94.0
国民1人当たりの平均入院日数27.86.88.86.1
多くの国は臨機応変に対応して機動的に動けています。スウェーデンのカロリンスカ大学病院を例に取ってみます。感染ピーク時には外科病棟が全てコロナ病床に変換され、全体でも半数くらいがコロナ病棟になったそうです。そのため通常の手術は全て延期となった。もちろん外科病棟には感染症の専門家なんていません。どうしているかと言うと、感染症専門医が毎日一回まわってきて何をすべきか指示してくれる。コロナの重症患者でもよほどのことがない限りそれぐらいで対応できるらしいです。日本でもがん研有明病院(コロナ重症患者を十数名受け入れて)の癌専門医は毎朝のカンファレンスで感染症や呼吸器専門医の指示を受けながら対応しています。

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