歯周病と全身の関係①
投稿日:2021.12.20
こんにちは。加古川・高砂市の歯医者さん、ツトウ歯科医院です。お口の豆知識を見て頂きありがとうございます。
歯周病はお口の中の病気だけではないということは多くの方が知っているのではないかと思います。歯周病は歯の周りに溜まった細菌によって歯ぐきに炎症が起こり、歯を支えている骨が溶けていく病気です。痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行し、最後は歯がグラグラになって抜けてしまうこともあります。歯周病がどのように全身疾患と関係があるのでしょうか。今回は、歯周病と全身の関係についてお話をしますね。
糖尿病
歯周病との関りが最も深いと言われているのは、生活習慣病の代表ともいえる糖尿病です。糖尿病とは、血糖値を下げるインスリンというホルモンが不足することで血糖値が高くなる病気です。歯周病により炎症が起きると、サイトカイン(炎症性物質)が作り出されます。サイトカインは血液にのって全身をめぐり、炎症が起きている場所に作用します。このサイトカインは血糖値を下げるインスリンの効果を阻害することが分かっています。
高血糖状態がお口の中に及ぼす影響
細菌に対する抵抗力が低下 高血糖状態では細菌を食べてくれる好中球の働きが低下します。細菌に対する抵抗力が減少し、感染症である歯周疾患にかかりやすくなります。
治癒が遅い 組織の修復力が低下するため、歯周病にかかって傷ついた組織が修復せず、歯周病がどんどん進行していきます。
口腔乾燥 高血糖状態では尿がたくさん出るため体内の水分が減ることで唾液が減少し、口が乾くようになります。唾液には自浄作用といって口の中を浄化し組織を修復する働きがありますので、唾液が減ることでこの作用が低下し歯周病の原因となる菌が繁殖しやすくなります。
誤嚥性肺炎
日本人の死亡原因の3位である肺炎ですが、肺炎に「誤嚥性肺炎」というのがあります。ご存知の方が多いと思いますが、その名の通り誤嚥によって起こる肺炎なのです。
歯周病とどのように関係があるのかと言うと・・・
通常は食道に入るはずの食べ物や飲み物が誤って気管に入り込み、食物や唾液に含まれた細菌が肺で炎症を起こしてしまう症状を誤嚥性肺炎と言います。唾液中に歯周病菌が含まれることで発症に繋がると言われています。特に高齢者や認知症など、嚥下機能が低下している方は誤嚥性肺炎を起こしやすいので注意が必要です。
今回は歯周病と糖尿病・誤嚥性肺炎の関係をお伝えしました。この二つ以外の疾患も歯周病と関係がありますので次回も「歯周病と全身の関係」についてのお話をしますね。