「建物がマッチの木で作った建物みたいで、崩壊寸前みたいになって、風でブラブラ揺れているんですね。壁とか鉄の。その下で働くんですよ。壮絶ですよ。」
「1、2、3、4まで蒸気出っぱなし、煙が出てんだからずーっと。がれきだらけ、もう何しろぐちゃぐちゃだった。 10cm以上ある鉄板の扉が曲がっているのを見ちゃったりとかね。 閉まらないだろうな。 当然それ閉めないと危ないっていう原子炉ですよね、本体がほぼむき出しの状態で、建屋の屋根と鉄骨が崩れ落ちとったから、ようあれで傷つかんで放射能が出てこんかったなって」
事故が起きてまもなく福島第一原発に入った作業員が、テレビで見るのと違ってその崩壊のすさまじさを目の当たりにすると足がすくんだと話す。「管理は甘かったよね。防護服の着方とかもろくにわからない状態でやったもんね。こんな簡易だからいいかって言ってチャックとか開けて…肌も出てたよね。マスクとの…それじゃ危ないよ~ぐらいしか言われなかった。何が危ないのかわんないもん、痛みもないし」
高い放射線量の中での作業は過酷を極めていた。「全面マスクしているんですよ。蒸れて呼吸が困難なんですよ。顔をくっつけて初めてしゃべれるくらい。ケータイ電話、ピッチとか持ってするんですけど。全面マスクだったら何しゃべってるかわからない。なおかつタイベックを着てるんで、身体を使う仕事、体力的に持たない」
作業員の憤りは、労働環境だけではなく賃金体系にもあった。「バスが朝4:50に出て帰ってくるまでの3:30の間で、1日7000円で仕事をしとる。おれらはトップの東電から4つ、5つ目の人間で、経費でなんやかんや引かれているから。なんぼ東電がこんくらい出しますよって言われてもキビしいね。」
会社にやとわれていると話す原発で働く作業員は、もと請け、下請け、まご請け、ひまご請け、そして5次、6次請けの作業員が多い。「間に入っている人間が何もしていないのに名前をかすだけで原発で働いてもないのに金をくすめ取る。許せない、何で対応してくれないの、法なり政府なり入って改善してくれないんだろう。一番の疑問というか、憤りを感じますよね。」
同じように仕事をし、同じように被曝している作業員でも賃金が全く違う。どのくらいピンハネされているのか、もと請けに近い業者に聞くことができた。「会社自体がもらってるのが一人あたま最低賃金の3倍、25000円弱か。下請けからそこに出して、そこからもらう。とやかく言えないからね。 金額を末端まで聞いちゃったっていう、ご法度だから。言った側も聞いた側も違反だからね」
取材できただけでも7割以上がピンハネされていることがわかる。さらに、そうした状況を隠すためか、いくらでやとわれているのか聞いてはいけないルールがあるようだ。信じられない労働の実態がここにはあった。「たぶん東電も元の体制に戻りつつあると思うんで、おやまの大将みたいな。 う~~ん、まぁ調子のってますね。 あまり言うたらあかん、皆が入られなくなる。」
話の中で気になったのは皆が福島第一原発に入れなくなるという言葉、つまり自分の発言で同僚の仕事も失うと言っている。診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
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